この雨の中、傘もささないで道端で虚空に向かって叫んでいる青年がいた。
不明瞭ではっきりとは聞き取れないが
「うにゃららだから、世の中の役に立たないんだよ!
ほにゃららでごにょよだから、世の中の役に立ってないんだよ!!」
という最後のところだけははっきり聞こえた。
きっと、彼は世の中の役になることをしようと
がんばってみたけど上手くいかず
そんな自分に腹をたてて自暴自棄になって
雨の中で叫んでいるのかも知れない。
しかし青年よ。
そもそもどうして「世の中のため他人のため」にならなくちゃいけないんだ?
世間には、まったく世の中に貢献しないどころか
呼吸をして二酸化炭素を吐き出すことすら迷惑という存在が
うちの会社を筆頭に、その辺中に溢れている。
世の中なんてそんなもんなんだ青年よ。
と、言ってみたくなったが
逆キレされて会社から借りている傘を奪われても困るので
小心な大人としては聞こえてないふりをして
そっと通り過ぎてしまった。
ほんとに世の中そんなもの。